建設業法改正① 働き方改革

「建設業法及び入契法の一部を改正する法律」が2020年10月に施行されます。主な改正点は、①働き方改革の促進 ②生産性の向上 ③持続可能な事業環境の確保 の3点となります。建設業においては、長時間労働が常態化していること、現場の急速な高齢化と若者離れが進んでいること、等が問題視されていました。今回の改正で何が変わったのか見ていきましょう。
*入契法・・・公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

働き方改革の促進

このところ働き方改革は、様々な労働分野で議論されるようになりました。中でも建設業は、工期に間に合わせるための長時間労働が当たり前に行われ、特に見直しが必要とされてきた業界のひとつです。
今回は働き方改革として、長時間労働の是正や、労働者の待遇の改善を目的として、以下の点が改正されました。

1.注文者に著しく短い工期による請負契約を禁止する

建設現場では元請の立場が強く、二次下請け・三次下請けとなると、立場が弱くなっていきます。短い工期での工事を強いられることもあり、長時間労働の原因となっています。今回の改正では、通常必要とされるに期間に比べて、著しく短い工期による請負契約を締結することが禁止されます。工期が短いかどうかの判断は、中央建設審議会が、その基準を検討しています。違反とされた場合は、認可行政庁から勧告を受けることになります。

2.建設業許可の基準を見直し、社会保険への加入を要件化

これまでは、建設業許可を得るにあたり、社会保険への加入は要件ではありませんでしたが、今回の改正で要件となりました。今後は新規に建設業許可を取得する場合や、許可の更新をする場合には、社会保険に加入していなければなりません。

3.下請代金のうち、労務費相当分については現金払いとする

今回の改正により、下請代金のうち、労務費相当分は現金で払わなければなりません。これは現金を手渡しするということではなく、銀行振り込みや小切手でも認められます。つまり手形等のように実際の支払いまで何カ月もかかるようなものはだめだということです。これにより、下請け業者の資金繰りに余裕が生まれ、賃金の支払いが滞りなく行われるだろうということです。