公正証書遺言の手続き

公正証書遺言は前項でも書きましたが、いざという時に安心安全な遺言書の形態です。しかし、自筆証書遺言と比べて手続きが煩雑になります。どのような手続きが必要か見ていきましょう。

 

公正証書遺言の作成に必要な書類

  • 遺言者本人の印鑑証明書
  • 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
  • 財産を相続人以外の人に遺贈しようとする場合は、その人の住民票
  • 財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書と固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書の課税明細書
  • 証人の氏名・住所・生年月日・職業を記したもの(2名)

 

公正証書遺言作成の手続き

  • 遺言書の文案作成
  • 公証人との事前打ち合わせ
  • 証人2名立会いの下で、公証役場にて証書を作成

作成時は、証人2名立会いの下で、公証人が遺言者に遺言内容を読み上げます。内容に間違いがなければ、本人と証人2名が証書に署名・押印します。完成した公正証書遺言書は、原本は公証役場が保管し、遺言者に正本と謄本が渡されます。規定に基づいた手数料を払って終了です。

なお、証人には相続人やその直系血族等はなることができません。信頼できる知人に頼むのも手ですが、遺言書という性質上、身近な人が内容を知っているというのもいかがなものかと思われます。多少の費用はかかりますが、守秘義務のある法律家に依頼することをお勧めします。

公正証書遺言は、従来安心安全な遺言書と言われてきましたが、自筆証書遺言の法務局保管制度(令和2年7月10日開始予定)が始まると、安心安全の度合いはほぼ変わらなくなってしまいます。前項に表を乗せましたが、公証役場に払う手数料は相続額によりますが、結構な金額になります。法務局保管の手数料は、今のところの発表だと1件につき3,900円と非常に安価な設定となっています。今後は、自筆証書遺言の法務局保管が主流になってくるのではないかと思われます。