民法改正で大きく変わった特別の寄与

相続でよくある質問に、「介護をしてくれた長男の嫁に遺産を残すことはできますか?」があります。以前でしたら「長男の嫁に相続権はありません。遺言で意思を明確にしておくか、生前贈与を検討しましょう」という答えでしたが、令和元年7月の民法改正により、「特別の寄与」という章が追加され、上記の場合の救済が図られるようになりました。

 

【民法改正前】

共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は形成に特別の寄与又は貢献をした者がいる場合に、そのような貢献のない他の共同相続人と同様に扱い、法定相続分の通りに分配するのは、かえって不公平があると思われます。そのようなときに、プラスの相続分を認めることで、共同相続人の公平を図るという規定がありました。わかりやすい例としては、長女が長く介護をしていたというようなケースがあります。
しかし、この規定の問題点は、寄与分が認められるのは共同相続人に限られているため、長男の嫁などの相続権のない人は、どんなに長く熱心に介護をしたとしても、寄与分は認められないということでした。

 

【民法改正後】

民法の改正により、上記の共同相続人の項目はそのままで、共同相続人以外にも特別の寄与を認める章が追加されました。
特別寄与者の範囲は、相続人以外の親族まで認められるようになりました。これにより、長男の嫁が介護をしてきたというケースが該当するようになりました。特別寄与者は、相続開始後相続人に対して特別寄与料の請求ができます。